次回建設委員会は11月13日登壇予定です。

令和7年9月5日議案審査特別委員会「子育て応援事業所奨励金」

子育て応援事業所奨励金について

こんにちは。帯広市議会議員の柳田健太郎です。
今回は、9月議会で取り上げた「子育て応援事業所奨励金」についてご報告します。

制度の概要

この制度は、育児休業の取得を促進し、子育てしやすい職場環境を整えることを目的に、要件を満たした育児休業取得者1人につき15万円を事業者に支給するものです。平成18年度からスタートし、約20年続いている制度です。

これまで大企業を中心に活用される傾向がありましたが、近年では小規模事業者でも利用が広がっています。今年度は当初45件を見込んでいたところ、8月末時点で既に43件に達し、年度末には75件ほどに達する見込みです。制度の周知が進んだことで、新たな企業からの申請が増えているのが特徴です。

私の質問と課題意識

議会では次のような点を確認しました。

  • 15万円の根拠
     金額は市内の若年女性の平均賃金を参考に設定されていますが、制度開始当時からの賃金上昇や物価高騰を踏まえると、現在の15万円は十分なのか疑問があります。実際、最低賃金は当初700円未満から現在は1,000円を超えており、1.4倍以上になっています。
  • 制度の効果測定
     利用件数の増加は制度の認知度向上を示していますが、「どの規模の事業所で活用されているのか」「実際に職場環境改善につながっているのか」といった点の検証が十分ではありません。特に中小企業では育休の取得率が低く、制度の浸透が課題です。
  • 企業からの声
     利用した企業からは「ありがたい制度」という評価がある一方で、提出書類の煩雑さや手間が負担になっているとの意見も寄せられています。
  • 他都市との比較
     同様の制度は札幌市と帯広市でのみ実施されていますが、札幌は回数制限など条件が厳しいのに対し、帯広はシンプルな条件で利用しやすい制度設計となっています。この柔軟さが制度の広がりにつながっている一方で、今後は財源や公平性の観点から見直しも必要です。

今後の方向性

市としても「小規模事業者における育休取得促進」が課題だと認識しています。従業員数に応じた支給額の見直しや、新たなインセンティブ設計など、令和8年度予算策定に向けて制度の在り方を検討していくことが求められます。

私自身、制度の趣旨を生かしつつも、実態に合った形での改善を提案し続けたいと思います。子育てしやすいまち帯広を実現するために、行政と事業者、市民が一緒になって考えていくことが大切です。