敬老祝金とは
帯広市では、長寿を迎えられた高齢者の方々に対し、敬意と感謝を込めて「敬老祝金」を贈呈しています。長年地域を支えてこられた人生への労いであり、社会の礎を築かれた功績に対する市民全体からのお祝いの気持ちを形にしたものです。
令和5年度の決算額は3,164万9,517円。その内訳は、祝金や祝品に3,127万6,520円、さらに案内発送など事務費に37万2,997円が充てられました。数字を見ても、市として大きな規模の予算を毎年投じている事業です。
私が繰り返し議会で取り上げてきた理由
私はこの敬老祝金を、令和5年9月決算委員会、令和6年3月予算委員会、令和6年9月決算委員会、そして今回と、これまでに4回にわたり議会で取り上げてきました。
繰り返し取り上げているのは、この制度が「お祝い」という名目にとどまらず、実際には「生活費の補填」として活用されている現状があるからです。
令和6年度には、市が同規模自治体への聞き取り調査や対象者アンケートを実施しました。その結果、「家族とお祝いに使った」という声が一定数ある一方で、「生活費に充てた」という回答が多数を占める実態が明らかになりました。
つまり、「長寿を祝う」という制度趣旨と「生活支援」という現実の間に乖離があるのです。
全国的な傾向と帯広市の課題
他都市の動向を見ると、敬老祝金制度は縮小傾向にあります。背景には、財政負担の増大と少子高齢化の加速があります。
単に祝金を配布するのではなく、高齢者の健康づくり、介護予防、地域交流の促進といった「未来につながる支援」へとシフトしているのです。
帯広市も同様に、この制度を続けるのか、縮小するのか、あるいは新しい形に変えていくのか、判断の岐路に立たされています。
私の問題提起
これまでの議会答弁の中で「給食費や不妊治療の助成がなぜ特定の世帯だけなのか」という議論がありました。
同じ視点で考えると、敬老祝金も「ある世代だけに現金を給付する事業」と捉えることができます。果たしてこれが市民全体の納得を得られる施策なのか。
私は繰り返し、次のように訴えてきました。
- 3万円を一世代に一律で支給する妥当性を、改めて財政課も含め検討してほしい。
- お祝いの形は維持しつつも、高齢者支援の中でより効果的な事業に予算を振り向ける可能性を探るべきだ。
これからの方向性
敬老祝金は、受け取った方にとっては大切な意味を持つ制度です。
一方で、少子高齢化と財政制約の中で「このままでいいのか」という問いかけを避けることはできません。
生活費に充てられる現状を踏まえるなら、生活支援施策と整理統合する道もあります。
「長寿を祝う」という目的を強調するなら、祝金に代えて地域交流や健康増進につながる施策へと転換する選択肢もあります。
私は今後もこのテーマを議会で取り上げ続け、帯広市として最適な形を模索していきたいと考えています。
まとめ
敬老祝金は「感謝と敬意」を形にした制度ですが、その実態は「生活支援」としての側面が大きいことが見えてきました。
これからも帯広市が持続可能な福祉を築くために、敬老祝金をどう位置付けるのか、私は引き続き議会で問い続けます。