次回建設委員会は11月13日登壇予定です。

令和7年10月8日 立憲民主・市民連合会派視察報告「鳥取市 地域食堂ネットワーク」

【鳥取市の地域食堂ネットワークに学ぶ】

──行政と民間が連携した支え合いの仕組み

■ 背景と目的

鳥取市では、子どもの居場所づくりから始まった「こども食堂」を発展させ、地域全体で支え合う「まち地域食堂ネットワーク」を構築しています。
今回の視察では、行政と民間がどのように連携し、持続可能な支援体制を築いているのかを学びました。

■ 取組の全体像

鳥取市の地域食堂は、「食の支援」「居場所」「相談支援」を一体的に行う点が特徴です。
2025年8月時点で、市内には45か所の地域食堂があり、約70か所の企業・団体が食品提供や寄付を通じて関わっています。
また、スーパーや郵便局など104拠点で寄付を受け付け、地域食堂や生活困窮者へ食品を届ける「フードドライブ」も進められています。
単発の支援に終わらず、地域全体での支え合いの循環が仕組み化されています。

■ 行政の立ち位置

注目すべきは、行政が「主導」ではなく「伴走者」として関わっている点です。
地域食堂の活動を「地域福祉推進計画」「子どもの未来応援計画」などに正式に位置づけ、制度面で支援しながらも、現場の自主性を尊重しています。
2030年度までにすべての小学校区に地域食堂を整備する目標を掲げ、政策的にも明確な方向性を示しています。

■ つながりサポーターの仕組み

孤立や困難を抱える人を地域で早期に支援するため、鳥取市では「つながりサポーター」を養成しています。
すでに600人以上が登録しており、地域の中で「気づき」「見守り」「相談」につなげる役割を担っています。
住民が身近な支援者として機能するこの仕組みは、地域共生社会の基盤づくりにおいて大きな意義があります。

■ 現場の課題

一方で、現場には次のような課題もあります。

  • ボランティア人材の不足(特に学生への依存)
  • 物価高騰による運営費増加
  • 活動拠点や備品の確保
    それでも行政・企業・地域団体の連携により、課題解決に向けた柔軟な取り組みが進んでいます。

■ 帯広市への示唆

帯広市でも、こども食堂やフードバンクの活動が広がっています。
今後は、鳥取市のように官民連携プラットフォームを制度化し、情報共有と支援体制を整えることが重要です。
行政が地域活動を支える“伴走型支援”に転換することで、より持続的な地域共生社会を実現できると感じました。