【2】介護予防マイレージが生み出す「地域のつながり」
―アプリと地域活動で支える健康長寿のまちづくり―
■ ICTを活用した「楽しく続けられる健康づくり」
貝塚市が実施する「介護予防マイレージ事業」は、スマートフォンアプリを使って高齢者が健康づくりに取り組む仕組みです。
歩数・血圧・睡眠時間等を記録するとポイントが貯まり、AIが健康リスクやフレイル状態をチェックしてくれます。
単なる健康アプリではなく、「自分の健康を見える化する地域施策」として機能している点が特徴的でした。

■ アプリが「地域交流のきっかけ」に
貝塚市内には約60か所の「ふれあい喫茶」があり、高齢者が気軽に集まれる地域拠点として親しまれています。
アプリで地域イベントに参加するとポイントが貯まる仕組みがあり、デジタルが人の外出や交流を促す好循環が生まれています。
行政が主導してICTと地域活動を結びつけ、出かけたくなるまちづくりを推進している点は、帯広市にも大きな示唆を与えます。
■ 自治体主導で続く持続的な運営
この事業は協賛企業に依存せず、すべて市の予算で運営されています。
自立的な財源で継続することで、参加者の安心感を高め、行政の責任も明確になっています。
また、アプリに蓄積される歩数や健康チェックのデータを、今後は大学と連携して分析・活用していく計画も進められていました。
データの活用によって、より実効性のある介護予防策や地域別の健康支援へ発展していくことが期待されます。
■ 帯広市での展開を見据えて
帯広市でも健康づくり・フレイル予防の取り組みが進んでいますが、貝塚市のようにデジタルを地域交流と結びつける視点はまだ広がっていません。
今後は、地域包括支援センターや医療機関、大学と連携し、「歩く・集う・つながる」仕組みをICTで支えるモデルを構築していくことが重要です。
健康づくりをきっかけに、地域の絆を再生していく。
それが、これからの介護予防の在り方だと感じました。


