こんにちは。
帯広市議会議員の柳田健太郎です。
先日、帯広市内にある不妊治療専門医療機関「ARTクリニック」様にお伺いし、現場で日々患者さんと向き合っているスタッフの皆さまからお話を伺いました。
私自身、帯広市議会議員として活動する原点のひとつが「不妊治療」です。
治療を受けるご夫婦の負担を少しでも軽くし、子どもを望む気持ちに寄り添える行政のあり方を考えたい。その思いから、改めて現場の課題や行政として求められている支援の方向性についてヒアリングを行いました。

不妊治療の現場から見える課題
少子化対策が国レベルでも叫ばれる中で、実際に治療を受けているご夫婦にとって「経済的な負担の大きさ」が大きな壁になっていることが改めて浮き彫りになりました。
1. 費用負担の重さ
体外受精や顕微授精は1回あたり30〜40万円程度かかり、さらに顕微授精や先進医療が加われば負担は増していきます。保険適用が始まっても、すべてが対象ではなく、自費部分が残ってしまうため「治療を続けたくても経済的に難しい」との声が多数寄せられています。
2. 他自治体との差
帯広市では国や道の制度を活用した助成はありますが、札幌など他の自治体では独自の補助が設けられているケースもあります。そのため「治療にお金をかけるなら、隣町に引っ越そうか」と考えるご夫婦もいらっしゃいました。地域によって子どもを授かるチャンスに差が出てしまうことは見過ごせません。
3. 男性不妊への支援
不妊治療は女性だけの問題ではありません。TESE(精巣内精子採取術)などの男性不妊治療については、自治体によって助成対象にしているところもあり、夫婦双方の負担を軽減する取り組みが広がっています。帯広市でも議論が必要です。
4. 高額療養費制度の“落とし穴”
今回のヒアリングの中で、事務担当の方からこんな指摘を受けました。
「高額療養費制度は1か月ごと(1日~月末)で計算されるので、月をまたぐと対象にならないことがあるんですよ。」
例えば、9月16日〜30日に7万円、10月1日〜15日に7万円の医療費を支払った場合、どちらも月ごとの自己負担限度額(約8万円)に届かず、制度の対象外。結果として30日間で14万円を負担することになります。
不妊治療は月をまたいで採卵や移植が組まれることが多く、この制度の設計そのものが患者さんにとって大きな負担になっていることを改めて実感しました。
まとめ(柳田の視点)
ARTクリニック様の現場の声や、事務担当の方の指摘を受けて、不妊治療を希望するご夫婦が安心して治療を受けられる環境整備が急務であると感じました。特に、
- 自費負担(先進医療費や保険診療の年齢制限、保険回数終了の場合)が残る現状
- 他自治体との差
- 男性不妊への支援不足
- 高額療養費制度の落とし穴
これらの課題を解決することが、「子どもを望む気持ちに寄り添えるまち」につながると確信しています。帯広市が積極的に取り組むことで、安心して子育て世代が暮らせる環境を整えていきたいと思います。


